<故 古澤 峯子 ~94歳時のスピーチより~>

人間の触れ合いを求めて

 もともと人間大好きの私がこうして長く生きておりますと、誰に対しても愛おしさが募ってきます。

でも、もし私がオーストラリアと出会わなければ、世界中の誰とでもお互いに助け合って心を触れ合わせていきたいとこれほど強く願わなかったでしょう。

オーストラリアに圧倒される

 昭和40年、55歳で西宮の学校を退職し、クイーンズランド大学で開かれた大学婦人協会世界大会に出席するべく、初めてオーストラリアを訪れました。

ブリスベンの太陽はキラキラとして、空は青く、庭の芝生は緑。小鳥たちは人間のすぐそばで楽しそうでした。

その自然の美しさ以上に私はオーストラリアの人たちの人柄のすばらしさに圧倒されました。明るい笑顔、目があえば、にっこりと「ハロー」。温かい人たちにふわっと包み込まれたような思いでした。

会議の会場となったクイーンズランド大学でその翌年(昭和41年)から日本語学部が創設されると聞き、お手伝いさせていただくことにしました。

思いやりの気持ち

タテの秩序社会で育った私は、オーストラリアの人たちのヨコの人間関係を本当に素敵に思います。

男女の差、社会的地位の差、年齢の差、知っている人、知らない人に関係なく、お互い尊重しあい、いたわり、助け合っている姿。

夫婦、親子、兄弟姉妹であっても、甘えのない一個の人格を持った人間同士の関係。一人一人の中身が非常に豊かで、他への配慮、つまり思いやりの気持ちが身についていると感じました。

日本人は、人間の素質としては素晴らしいと思います。頭もいい、技術も優れている。長い歴史の中で築きあげてきた文化遺産も素敵です。

東洋思想も立派です。オーストラリアの人たちのあの人間性を日本人が身につけるならば、鬼に金棒だと思います。